オートマチック車におけるアクセルとブレーキの踏み間違いによる事故を防止する技術が、今から25年も前に開発されていました。
この「ナルセペダル」は、数年前にテレビ番組で紹介されているのを見たことがありますが、その頃と変わらず現時点でも依然として普及していません。その存在すらそれほど多くの人に知られているわけではなさそうです。
開発された時点で、自動車メーカーによる採用が始まっていれば、どれだけ多くの事故を防ぐことが出来ていたのだろうかと考えると残念な気持ちになります。
ナルセペダルは熊本県にある有限会社「ナルセ機材」が開発した製品。アクセルとブレーキがひとつになったもので、正式名称は「ワンペダル」となる。
このペダルの特徴はアクセル操作にある。右足をペダルに乗せた状態で、踏めばブレーキがかかり、ペダル上の足元を右にずらすと発進する。
ただし、ずらすといっても足首を右に曲げるのではなく、ペダルに足を乗せた状態のまま右ひざを外側に開く。すると、足首も勝手に右方向に向くはずなので、走行中はその状態をキープする恰好だ。アクセルは膝を開き、ブレーキは踏み込む。実際にその動作をしてみれば分かるが、足への負担も少なく無理のない姿勢なので、長時間の運転も可能だろう。
「ナルセペダルでもアクセルとブレーキの操作を間違えてしまう場合がありますが、仮に間違えたとしても、ペダルの踏み替えが必要ないのでブレーキ操作を素早くできます。また、びっくりした場合、従来車のアクセルペダルを踏むという反射的動作は、ナルセペダルではブレーキ操作となるので、事故に遭う前に停止できるというメリットがあります」(松永氏)
自動車メーカーは、センサーや自動ブレーキ等を使って電子的に事故を防止する技術の開発を進めているようですが、それだけに頼らず人間工学に基づいた「ナルセペダル」についても採用を検討してほしいと思います。
完全な自動運転が現実のものとなれば、ヒューマンエラーによる事故は原理的に発生しないわけですが、それはいつのことになるのでしょうか。