(写真:TRUME TR-MB8001, EPSONウェブサイトより引用)
セイコーエプソンから、新しい腕時計ブランドTRUME(トゥルーム)が誕生。
2017.7.19のマイナビニュースより。
登山用時計、活動量計としても使える
GPS時刻修正機能、そして気圧・高度センサーや方位センサーも内蔵されているので、SEIKOのGPS腕時計アストロンと、CASIOの登山用時計プロトレックを合わせたような時計でしょうか。GPSと方位センサーを使ったWayPoint(簡易ナビ)機能もありますね。
上位機種には腕時計本体の他に「エクスパンデッドセンサー」という付属品があり、これには温度センサー、照度センサー、加速度センサーが搭載されているとのこと。活動量計としても使えます。
また、プロトレック等の通常の登山用時計の場合、温度センサーが腕時計本体に内蔵されているので、腕から外さなければ体温の影響で正確な気温が計測出来ないという難点がありましたが、TRUMEでは、この「エクスパンデッドセンサー」を体から離して使用すれば、そういう問題もありません。
良いですね。腕時計本体がもう少し小さく軽くなれば登山用時計としてもかなり便利に使えそうです。
ただ、定価は240,000~280,000円。「エクスパンデッドセンサー」が付属する上位機種は280,000円になります。うーん、ちょっと高いかな。
世界初のクオーツ腕時計を開発したのは、セイコーエプソン(当時の諏訪精工舎)
これまでも、自社のEPSONブランドではSmart Canvas(EPD 電子ペーパーウオッチ)やWristableGPS(ランニングウオッチ)などは出していますが、それらは普通の腕時計とはちょっと毛色が異なっていますし、ORIENTも今はセイコーエプソン傘下のブランドですが、その由来となったオリエント時計は元々は独立した企業で、それをセイコーエプソンが傘下におさめたという経緯があります。
TRUMEは、自社技術で開発して自社オリジナルのブランドで出す初めての本格的な腕時計ということになるのでしょうか。
もっとも、セイコーエプソンは、SII(セイコーインスツル)とともに、SEIKOブランドの腕時計を開発・製造していますし、世界初のクオーツ腕時計(初代アストロン)は、セイコーエプソン(当時は諏訪精工舎)の開発、最近ではスプリングドライブや”クオーツ腕時計の頂点”9Fムーブメント、GPSアストロンもセイコーエプソンの開発・製造ということで、日本における腕時計の歴史の重要な部分を担ってきたと言っても過言ではないでしょう。
全く新しいブランドで、果たして売れるのか?
しかし、全く新しいブランドで出して、果たしてどれくらい売れるのでしょうか?
認知度が高いSEIKOロゴを付けてアストロンとして販売するなら結構売れるでしょうけど、TRUMEは今のところ、認知度もステータス性もほぼゼロ。
機械式で特に顕著ですが、高額な腕時計は機能やデザインだけでなく、ブランド力やステータス性も求められるので、最初のうちはちょっと厳しいのかもしれませんね。
機能はそのままで10万円代、もう少し全体にスッキリしたデザイン、そして時針・分針の質感が高くなれば、買ってもいいかな?セカンドモデルに期待します。
<追記 2017.7.21>
上記の文章だけだとTRUMEにちょっとネガティブな印象を持っているように思われるかもしれませんので追記しておきます。実際のところ、TRUMEの今後にはかなり期待しています。
世界初のクオーツ腕時計を開発し、さらに9Fクオーツやスプリングドライブなど革新的な技術を生み出し続けているセイコーエプソン。TRUMEが、その輝かしい実績や歴史を体現するようなブランドになることが出来るなら、自ずとブランド力も向上していくのではないでしょうか。
Grand SeikoやCredorとの棲み分けの問題もあるのかもしれませんが、セイコーエプソンの保有している最先端の技術だけではなく、腕時計の世界におけるセイコーエプソンの実績や歴史を感じさせるような腕時計もぜひ出して欲しいなと思います。
セイコーエプソンには、R-D1という世界初のレンジファインダー式デジタルカメラがありました。R-D1はクラシックなレンジファインダーとデジタル技術が融合したユニークなモデル。あんな感じの腕時計も面白いなと思いますが、いかがでしょうか?
<参考書籍:SEIKO好きなら読んでおきたい>
世界初のクオーツ腕時計を開発した諏訪精工舎のチャレンジ精神は、今もセイコーエプソンに生きているはず。私も、その精神を受け継ぐ9Fクオーツとスプリングドライブが欲しい。
「逆転 田舎工場 世界を制す」~クオーツ・革命の腕時計 ―新たなる伝説、世界へ プロジェクトX~挑戦者たち~