日本の企業では、やる気のない社員が70%

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2017年7月16日の読売新聞の記事より。

米ギャラップ社が世界の企業を対象に行った社員の仕事への熱意度調査の結果によれば、日本の企業では熱意あふれる社員がわずか6%で、やる気のない社員が70%とのこと。

【読売新聞】 「日々の仕事にやる気が感じられない…」「マンネリ感がどんどん強くなっていく…」中年サラリーマンのあなたは、そんな思いを持って日々仕事をしていないだろうか? 仕事に対する熱意や緊張感を欠き、同じ仕事を淡々とこなすだけの「

米世論調査会社ギャラップが世界の企業を対象に行った社員のエンゲージメント(仕事への熱意度)調査で、日本の企業で働く人のうち、「熱意あふれる社員」とされたのはわずか6%にとどまり、139か国中132位と、限りなく最下位に近いという報道があった。逆に、「やる気のない社員」とされたのが実に70%を占め、アメリカの32%と比べても、日本企業の社員のモチベーションの低さは一目瞭然だった。まさに衝撃的な調査結果といえる。

経営者サイドから見れば、やる気のない多くの社員に給料を払っているということですから、しっかり仕事してくれと社員に向かって言いたくなることでしょう。

一方、社員サイドから見れば、多くの人がやる気の湧かない仕事で人生の時間を浪費しているということであり、こちらも何とも勿体ないことではありますね。

「サザエさん症候群」になる会社員が多いのも当たり前

これでは「サザエさん症候群」になる会社員が多いのも当たり前。

関連記事:”I Don’t Like Mondays”-月曜日が嫌いな「サザエさん症候群」になる人の末路

”I Don't Like Mondays”-月曜日が嫌いな「サザエさん症候群」になる人の末路
1979年1月29日月曜日、米国カリフォルニア州サンディエゴのグローバー・クリーブランド小学校で、当時16歳の少女、ブレンダ・アン・スペンサーが父親からプレゼントされたライフルを乱射し、2名が死亡、9名が負傷するという事件が発生。事件の理由を尋ねられた彼女は、"I don't like Mondays" と答えた。日曜日の夕方、アニメ「サザエさん」が放送される頃、翌月曜日から仕事や学校が始まる人達が憂鬱になることを「サザエさん症候群」というようですね。日本版ブルーマンデー症候群。

要するに、やりたくないことを仕事としてやらされている(と思っている)から「やる気のない社員」になるのでしょう。

子供の頃から行きたくない学校に行き、大してやりたくないも勉強をやり続けてきた結果、やりたくないことでも我慢してやり続けることが立派なことなのだと”洗脳”されてしまった人も多いのではないかという気もしますね。

会社に入っても、その延長線上で我慢するのが良いことだ我慢するしかないのだと思い込んでいる人も多いのでは。

たとえ、やる気の起きない仕事を我慢してやることは出来たとしても、自然な感情そのものを変えることは出来ないはず。

もし、出来るなら、それは自己欺瞞かもしれません。

そんなことを続けていれば、精神的におかしくなっても不思議ではないでしょう。

中だるみ社員

そんなやる気がないまま停滞し続けている社員のことを「中だるみ社員」と呼ぶとのこと。

その中だるみ状態が長期化し、緊張感やモチベーションが低下し、業績を上げられない状態から抜け出せず、停滞し続けている社員が「中だるみ社員」と呼ばれる。

~中略~

仕事というものは組織や上司の都合が優先され、本人の意思が必ずしも反映されるわけではない。自分のやりたい仕事、能力を生かせると思う仕事にありつけるとは限らないのだ。これが結果的にモチベーションの低下につながり、中だるみ社員を生み出しているのなら、構造的問題とも言える。

会社における仕事が「組織や上司の都合が優先され、本人の意思が必ずしも反映されるわけではない」のは、むしろ当然のことであるように思われます。会社の仕事とはそういうものなのでは。

「中だるみ社員を生み出している」のが「構造的問題」であるならば、その構造を変えるしか根本的な解決方法は無いということになります。

では、誰もが陥る可能性がある「中だるみ」を防ぐために、何をすればいいのか。

一つは、異なる分野の知識を取り入れて、仕事のやり方を工夫することだ。

  ~中略~

二つ目は、職場希望調査などの自己申告の際、自身が本当に希望する部署への異動を申告し続けることだ。

  ~中略~

最後に挙げるのは、将来的にはっきりした目標がある場合、現在の仕事と目標とする仕事や立場との関連を少しでも明確にしておくことだ。

また、企業側が「中だるみ社員」を生まないためにすべきこととしては、

まずは、「ジョブ・ローテーション(職場や仕事内容の変更)」の活性化だ。

  ~中略~

人材公募制の導入も有効だ。新規事業に進出する企業が、担当部署の仕事内容を示して、「やりたい」と手を挙げるモチベーションの高い社員を募集する制度だ。

  ~中略~

そして、最近注目され始めているのが「副業の解禁」だ。

大変失礼ながら、勉強が嫌いでやる気のない小・中学生を相手に、教師が何とかやる気を起こさせようと苦労している風景を連想してしまいました。

この場合は、いい歳をした中年が対象であるだけに、何ともいえない哀愁が漂いますね。

構造的問題を解決することは不可能

上記の「中だるみ社員」防止策は、うまくいけばそれなりの効果はあるのかもしれません。しかし、「構造的問題」を解決出来るのかは、大いに疑問です。それに、どの会社でもこのような対策が実施出来るかというと、そういう訳にもいかないでしょう。

会社員という存在には、雇われ仕事という”不自由”さを甘んじて受け入れ、会社の指示に従って会社が定めた一定の範囲内で動くからこそ、収入を得ることが出来るという側面があります。

仕事に関する社員個人の要望・希望が全て尊重される訳ではない以上、モチベーションをいつも高い状態で保って働き続けることが出来ると考える方がむしろ不自然に思えてきます。

雇う側と雇われる側という構造を変えることが不可能である限り、雇われ仕事に従事する会社員にモチベーションの低下による「中だるみ」が生じることは、根本的な解決の困難な「構造的問題」ではないでしょうか。

関連記事:自由な毎日を送るためには、雇われ仕事からの収入に依存してはいけない

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サラリーマンとして会社に勤務していれば、自分の裁量だけで決められないことが多くあります。勤務時間や休日を勝手に決めることは普通の会社では無理です。出世していけば自分の裁量で決められる割合は徐々に増えてはいきますが、それにも限界があります。

日本の労働市場の流動性が低いことも一因?

ただ、日本で「熱意あふれる社員」がわずか6%にとどまり、139か国中132位であるなど、世界的に見ても極端にモチベーションが低いのは、雇われ仕事という構造的問題だけではなく、日本の労働市場の流動性が低いという事情とも関係があるのではないかと思われます。

会社を辞めても次の仕事が容易に見つからないのなら、モチベーションが低下したままであろうが、やる気がなかろうが、とにかくずっと同じ会社に居続けるという選択肢しか選べなくなってしまいます。

しかし、社員もツライのかもしれませんが、マトモに働かない社員であっても簡単にはクビに出来ない企業も大変です。

流動性をもっと高めることが出来るなら、モチベーションが低下した社員は、会社を辞めてそれまでよりも熱意が持てる仕事に移ることも容易になります。

対症療法で何とかしようと狭い世界でもがくよりも、嫌なら、さっさと辞めて転職するなり、起業するなり、新しい道へ進む方が建設的なはず。澱んだところに居続けるよりも、心機一転、リセットすればやる気も回復するでしょう。

読売新聞の記事では「中だるみ」の防止策を社員と企業に求めていますが、労働市場の流動性が低いことも「中だるみ」の大きな要因であり、流動性を阻害している国の過剰な正社員保護政策も考え直した方が良いと考えられます。

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